10年間被災地で利用されてきた段ボールベッド「暖段はこベッド」

「暖段はこベッド」はご存知でしょうか?今までの常識では避難所では床に直接ブルーシートを敷くなどして雑魚寝が当たり前でした。しかし外国の避難所では被災者にベッドなどが72時間以内に用意されるということが当たり前となっているようです。「暖段はこベッド」の開発者Jパックス株式会社の水谷社長は東日本大震災の直後より避難所へ段ボールベッドを届ける活動を行う中で、避難所の景色を変える必要があるということに10年以上真剣に取り組んでいらっしゃいます。

雑魚寝がなぜいけないのかというと、せっかく避難して助かった命が生活環境によって失われてしまう二次災害の原因となるからです。例えば床に寝転ぶと立ち上がる回数が減りエコノミー症候群になってしまったり、たくさんの人が同時に共同生活する空間では埃がまい気管への悪影響やドタバタという足音が精神面にもストレスを与えてしまいます。ベッドを利用することでこれらの問題が改善されると考えられています。

段ボールベッドの利点

Jパックス株式会社は大阪の段ボール製造の中小企業です。もちろん自社でつくることができる段ボールでというのが始まりですが、水谷氏が医療機関や大学と研究してきた中でいくつもの利点があることがわかりました。例えば提供が早い事、場所を取らないので大量に素早く供給が可能なこと。ウイルスの残存時間が他の素材に対して短いこと。段ボールは95%が再利用されるため処分も簡単であること。また耐久性や組立ての時間短縮、テープなどを使わないことなどなど何十回と水谷氏とJパックスのスタッフが設計をし直したベッドになります。

弊社も約10年、ご紹介いただいてから水谷氏の活動に関わらせていただき語るには目頭が熱くなることもまだまだありますが本題に移りたいと思います。

使いたいという声に答えて

白ベースの段ボールベッドはインテリアの邪魔をしません。

この段ボールベッドを避難所ではなく自宅で使用したいというお声を前々からいただいていたそうです。そこでJパックス株式会社様が設計したベッドとしての機能性に、デザインでプラス機能を加えられないだろうかというご依頼をいただきました。現在は個人向けの販売をハピログ株式会社様が代理店として行うことになり、オンラインストアでご購入いただくことができます。

パーツの小箱はベッドの役目を終えた後も収納ボックスとして使える様にシンプルなデザイン

パーツとして組み立てたあとも何が入っているかわかる様に記載スペースをデザイン

和室にも違和感なく馴染む新しい段ボールベッド

小箱は全部で24個、一つづつ開かなくてもわかる様に天板にはマップを表示

コンセプトとしてどんな部屋にも馴染むこと、収納などで便利に使えること、ベッドとしての役目が終わったあとの利用用途を加えるということを提案。まずは白ベースの段ボール生地を利用し外側のスリーブにはできるだけ記載を無くして部屋のインテリアの邪魔にならないようにしています。また、部品となる小箱には「中に何がはいっているか」記載できるようにINDEXや日付などの記載スペースを設けました。例えば引越しの時にそのまま使える様に上部、正面、側面の3箇所に記載できる様にデザインいたしました。また、この小箱はベッドとしての役目を終えた後収納ケースとして使用できる様に、どの面を前にして並べてもINDEXの表記が高さが揃う様にデザインしてあります。また、段ボールの収納としてはパーツを並べたあとにのせるベッドの天板には小箱を開けなくても何が入っているかわかるように記載するMAPをデザインいたしました。市販されている段ボールベッドのパーツに機能としてプリントされているものはこの商品が初めてになるのではないかと思います。

この記事を書いた人
松尾雅由

松尾雅由

MASAYOSHI MATSUO

株式会社ARTMIXTURE代表取締役。MacromediaのFlash5に魅了され、Web制作の世界に飛び込む。コーディング・Webデザイン・CM制作・サウンドロゴ制作などクリエイターとして活動。2015年にリリースした予定管理アプリPixelSchedulerは現在も全世界で利用されている。2021年まで専門学校の講師なども勤める。プロフィール詳細はこちらをご覧ください。